用語集 - 不動産の定義と範囲・取引事例比較法の仕組み・地価公示・減損会計

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用語集

・不動産の定義と範囲
・不動産に関する専門職業の種類
・不動産鑑定士
・不動産の鑑定評価
・不動産の価格形成要因
・不動産鑑定評価の3方式
・原価法の仕組み
・取引事例比較法の仕組み
・収益還元法の仕組み
・開発法の仕組み
・地価公示
・都道府県地価調査
・公的土地評価の一元化
・価格の種類
・減損会計
 

【 不動産の定義と範囲 】
「不動産」は、「土地とその定着物である」と一般に定義されます。
地表の敷石・舗装や、地中の土砂・岩石・地下水などは「土地の構成物」つまり土地の一部とみなされます。
一方、「土地の定着物」とは、土地に永続的に固着し、撤去の困難な物を意味します.これには、自然的な定着物である樹木などの他、人工的な定着物である各種の工作物(橋脚や擁壁・石垣なども)があり、その代表は、住宅・商店・オフィスビル・工場などの建物です。


【 不動産に関する専門職業の種類 】
土地を購入し住宅を建設する場合を例にあげて、どのような専門職業があるかを概観します。

まず、宅地建物取引業者に媒介を依頼して条件に見合った土地を探します。購入する土地の価格が適正か否か問題となるときは、不動産鑑定士に鑑定評価を依頼します。売買契約の内容について法律上の問題があるときは、弁護士に相談します。
契約が成立した後、所有権の移転登記やローンの担保権設定の登記は司法書士に登記手続を依頼します。売買にともなう諸税に関しては、税理士に相談することとなります。
土地を取得した後、建物の建築については建築士に建築物の設計・監理を依頼し、建物完成後の建物の表示登記は、土地家屋調査士に依頼します。

以上は一例ですが、不動産に関しては、種々の専門職業が存し、それぞれの場面でかかわってきます。


【 不動産鑑定士 】
不動産鑑定士は、不動産に関する専門職業の中で、不動産の鑑定評価を行なうことのできる国家資格です。
不動産の鑑定評価は、不動産の取引、金融担保、国・公有財産等の取得または処分、固定資産税等課税評価、訴訟その他不動産紛争、土地区画整理事業や市街地再開発事業、競売・公売・地価公示・都道府県地価調査等に関連して行なわれます。
不動産鑑定士になるには、国家試験である「短答式試験」及び「論文式試験」に合格し、国土交通大臣の登録を受けた実務修習機関において「実務修習」を受け、その修了考査の結果修了を認められ、国土交通大臣の修了の確認を受けることが必要となります。

【 不動産の鑑定評価 】
不動産鑑定士または不動産鑑定士補が不動産鑑定評価基準の定めるところに従い、不動産の経済価値を判定し貨幣額で表示することをいいます。
不動産は、自然的にも人文的にも固有の特性を有し、一般財のような自由な市場を持つことがありません。そこで鑑定評価主体(不動産鑑定士等)が、不動産の適正な経済価値を把握し貨幣額で表示する作業が必要となります。この意味において不動産の鑑定評価は、不動産の価格に関する専門家の判断であり、意見であるといえます。

【 不動産の価格形成要因 】
〔一般的要因〕
不動産の価格形成要因は、一般的要因、地域要因および個別的要因に分けられます。
一般的要因は、一般経済社会における不動産のあり方およびその価格水準に影響を与える要因であり、さらに自然的要因、社会的要因、経済的要因および行政的要因に分けられます。

〔地域要因〕
地域要因は、規模、構成の内容、機能など各地域の特性を形成し、その地域に属する不動産の価格形成に全般的な影響を与える要因です。この要因は、宅地地域、農地地域および林地地域の種別により把握されます。宅地地域は、鑑定評価の主対象のため住宅地域、商業地域および工業地域に細分されます。

〔個別的要因〕
不動産に個別性を生じさせ、価格を個別的に形成する要因です。一般的要因(自然的要因を除く)は動的および間接的要因ですが、個別的要因は静的および直接的な要因であり、対象不動産そのものの状態といえます。個別的要因は、土地、建物、建物およびその敷地に分類されます。


【 不動産鑑定評価の3方式 】
不動産の鑑定評価の方式には、原価方式、比較方式および収益方式があります。鑑定評価の3方式はそれぞれ特色を有しており、求められた価格は性格が異なります。不動産の適正価格を求めるにあたっては、可能なすべての方式を適用すべきであるとされています。
鑑定評価方式の適用により求められた価格は、最終の鑑定評価額でなく中間の試算段階の価格であるため試算価格といいます。最終の鑑定評価額は、各試算価格を信頼性等に応じて調整したのちに決定されます。
なお、鑑定評価方式は価格を求める手法と賃料を求める手法に分けられます。

【 原価法の仕組み 】
原価法は、原価方式のうち、不動産の価格を求める手法です。
価格時点における対象不動産の再調達原価を求め、再調達原価について減価修正を行なって試算価格(積算価格)を求めます。原価法は、主に建物等の減価償却資産に有効とされています。
積算価格をS、再調達原価をC、減価額をDnとすると、この手法は次式で示されます。
S=C−Dn

【 取引事例比較法の仕組み 】
取引事例比較法は、比較方式のうち不動産の価格を求める手法です。
多数の取引事例を収集して適切な事例の選択を行ない、これらに係る取引価格に必要に応じて事情補正および時点修正を行ない、地域要因の比較および個別的要因の比較を行なって求められた価格群を比較考量して対象不動産の試算価格(比準価格)を求めます。
取引事例比較法は、「取引事例」という現実の資料に基礎をおく実際的な方法であり、ほとんどの不動産に適用できる有用な手法です。この手法の有効性を高める資料として,売り希望価格などの参考価格があります。

【 収益還元法の仕組み 】
収益還元法は、収益方式のうち不動産の価格を求める手法です。
対象不動産が将来生み出すであろうと期待される純収益の現価の総和を求めるものであり、純収益を還元利回りで還元し試算価格(収益価格)を求めます。
収益還元法は、用途が収益目的の不動産、賃貸用不動産等の価格を求める場合に特に有効です。不動産価格は、その収益性を反映して形成されるものであり、収益は不動産の経済価値の本質を形成しています。

直接還元法・・ 対象となる一期間の純収益を査定して、還元利回りにより還元して不動産の価格を求める方法。
将来の純収益の変動については一期間の純収益及び還元利回りの査定に織り込みます。

DCF法・・ (Discounted Cash Flow法)連続する複数の期間(分析期間)に発生する純収益等を、その発生時期に応じて現在価値に割り引き、これらを合計して不動産の価格を求める方法。
将来の純収益の変動を各期の純収益において予測し明示するため、証券化不動産の評価等において特に重視されます。

【 開発法の仕組み 】
 

開発法は、原価法・取引事例比較法・収益還元法の考え方を活用した更地の価格を求める手法です。土地の面積が近隣地域の標準的なものに比べて大きい場合等(分譲マンション、分譲住宅適地等)に以下のような手順により価格を求めます。

イ.  更地を一体利用することが合理的と認められるときは、当該更地に最有効使用の建物が建築されることを想定し、販売総額から通常の建物建築費相当額、付帯費用等を控除して価格を求める。
ロ.  更地を分割利用することが合理的と認められるときは、当該更地を区画割りして、標準的な宅地とすることを想定し、販売総額から通常の造成費相当額、付帯費用等を控除して価格を求める。

【 地価公示 】
地価公示制度は、地価公示法(1969年法律49号)に基づき、土地鑑定委員会が、毎年1回(価格時点は毎年1月1日)都市計画区域内で標準的な土地(標準地)を選定し、2人以上の不動産鑑定士等の鑑定評価を求め、その正常な価格を判定して公示するものです。
公示価格は、一般の土地取引の指標となるとともに、不動産艦定士等が土地の鑑定評価を行なう場合および公共事業の施行者が土地の取得価格を定める場合にはこれを規準としなければならず、また、収用委員会が収用する土地の価格を算定する場合にはこれを規準とした価格を考慮しなければなりません。

地価公示は、1970(昭和45)年に三大都市圏で実施され、1975(昭和50)年からは47都道府県において実施されており、原則的に都市計画区域を有するすべての市区町村を対象としています。
公示価格は、土地取引等の指標として利用されるのみならず、地域ごとの地価動向を知る最も基礎的な資料となっています。

【 都道府県地価調査 】
地価公示を補完するため、国土利用計画法施行令9条の規定に基づき実施されています。
各都道府県知事が毎年1回(価格時点は毎年7月1日)都市計画区域外を含む各都道府県全域を対象とし、標準的な土地(基準地)を選定し、1人以上の不動産鑑定士等の鑑定評価を求め、その正常な価格を判定して公表するもので、1975年から実施されています。

【 公的土地評価とその一元化 】
公的土地評価には、地価公示、都道府県地価調査のほか、課税目的の土地評価としての相続税評価,固定資産税評価があります。
これらの課税目的の土地評価は市場価格を示すためではなく、課税標準を計算する目的で行なわれることから、地価動向をみる場合等には注意が必要となります。

相続税評価は、相続税、贈与税のために、国税局長により行なわれるもので、毎年1月1日時点の価格を、市街地的形態を形成する地域の宅地については路線価方式、その他の土地については固定資産税評価倍率方式により評価します。
固定資産税評価は固定資産税課税のため市町村長によって行なわれ、3年ごとに評価替えが実施されます。

公的土地評価に対する信頼を確保するとともに、適正な地価形成、課税の適正化に資する観点から、その均衡化・適正化が推進されており、土地(宅地)の相続税評価額は、地価公示価格水準の80%程度、同様に固定資産税評価額は地価公示価格水準の70%程度の水準で評価されています。


【 価格の種類 】
不動産の鑑定評価によって求める価格は、基本的には正常価格となりますが、依頼目的や条件に応じて限定価格、特定価格等を求める場合があります。

正常価格・・ 現実の社会経済情勢の下で合理的と考えられる条件を満たす市場の中で形成される不動産の適正価格を言います。一般的な市場競争原理の中で成立する価格と言うこともできます。
限定価格・・ 隣接不動産の併合のための売買や、借地権者が底地の併合を目的とする売買の場合等のように、特定の当事者間においてのみ経済合理性が成立する価格を言います。
特定価格・・ 証券化不動産の評価、会社更生法、民事再生法の適用時の評価等、法令等による社会的要請を背景とする評価目的の下で、正常価格の前提となる諸条件を満たさない場合における不動産の経済価値を適正に表示する価格をいいます。(証券化不動産の評価、会社更生法、民事再生法に基づく早期売却価格、事業継続を前提とした評価等)

【 減損会計 】
会計基準で定められた手順により、企業が保有する土地などで簿価から大きく下がった資産の価値を実勢価格に修正。その差額を損失として財務諸表に計上すること。減損処理には「減損の兆候」の把握、「減損損失を認識」、「減損損失の測定」の段階がありますが、「減損損失の測定」における正味売却価額の算定において鑑定評価が活用されます。


参考文献… 「日本不動産学会編 不動産学事典」(住宅新報社)
「改訂版 要説不動産鑑定評価基準」(住宅新報社)



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