東日本大震災後の不動産市場動向アンケート調査結果
(第16回)公表
東日本大震災及び東京電力福島第一原子力発電所の事故後における不動産市場変動を捉える
べく実施した「東日本大震災後の不動産市場動向に関するアンケート」の第16回分の調査結果
を発表致しました。
今回調査(第16回)は、前回調査(第15回、平成29年10月1日時点)に比較して、回答全体
に占める「ほぼ同じ」との回答割合が増加しており、概ね横這い傾向にあることが窺えます。
これは、前回調査時から今回調査時までの間に取引価格に影響を及ぼす要因の変動が少な
かったためと思われます。前回調査と比較した主な傾向は以下の通りです。
【土地(住宅地)】
全体としては、前回と比べて「ほぼ同じ」が4.8ポイント増加し、「上昇した」が減少して
います。前回では無かった「大きく上昇した」が今回は見られ(0.9%)ますが、全体的には価格
は概ね横這い傾向を示しています。
エリア別では、浜通りの「大きく下落した」及び「下落した」が目立ちますが、その割合は
前回に比較して12.4ポイント減少しています(いわきが13.4ポイント減少、相双が7.1ポイン
ト減少)。中通り及び会津においては「ほぼ同じ」が前回よりも増加しています。その一方で
、「大きく下落した」及び「下落した」も増加し、「大きく上昇した」及び「上昇した」が減
少しています。県南では「ほぼ同じ」との回答割合が100%でした。県中、県北、会津の住宅
地価格については「上昇した」が減少し、「下落した」が増加しています。
今後の見通しでは、価格が「大きく下落」及び「下落する」との回答が増加(合計5.1ポイン
ト)しています。
各コメントも考え併せると、価格は下落傾向を強めていくことが懸念されます。
【土地(商業地)】
全体としては、前回と比べて、「ほぼ同じ」が2.6ポイント増加しており、住宅地と同じ傾向
が見られます。
エリア別では、いわきは、「下落した」が前回は46.2%、今回は42.1%と減少傾向を示して
いますが、「大きく下落した」が1.5ポイント増加しており市場に不透明感が残ります。相双
では前回と比べて30ポイント分が県南では同じく20ポイント分が、「下落した」から「ほぼ同
じ」へシフトしています。「下落した」が県中では10ポイント、県北では8.6ポイントそれぞ
れ増加しており、「ほぼ同じ」が県中で5.1ポイント、県北で11.1ポイントそれぞれ減少して
います。しかし、「上昇した」が県中で1.1ポイント減少しているものの20%台を維持し、県
北では3.1ポイント増加しています。会津では、「大きく下落」及び「下落」が14.3ポイント
減少している一方で、前回見られた「上昇した」が今回は回答が無く、「ほぼ同じ」が19.3ポ
イント増加しています。
今後の予測では、各エリアで「下落する」が増加しています。回答数は少なかったものの相
双で「下落する」が66.7%と今回の「下落した」の20.0%を46.7ポイント上回っています。
【土地(工業地)】
全体としては、「下落した」が9ポイトが減少し、「ほぼ同じ」が6.6ポイント増加していま
すが、その一方で、「大きく下落した」が4.9ポイント増加しています。
今後半年間の予測は、「下落」がほぼ倍増しており、悲観的な見方が広まっていく傾向があ
ります。
【特徴的な傾向】
動向指数(DI)による分析では、実感は、横這い乃至やや上昇傾向も見られたものの全体的
には緩やかな下降基調にあります。住宅地、商業地、工業地はいずれについても悲観的な見方
が大勢を占めており、今後の見通しについても同様です。この傾向は、特に浜通りにおいて顕
著です。
コメントは、賃貸の空室増、買主の資金力低下が目立ちました。
<トピック調査> 「不動産向け新規融資の減少」の影響について
アンケートの結果、不動産向け新規融資の減少について、不動産市場への影響が見られると
回答した方は全体の32.4%で、同67.6%は殆ど影響はないとの回答でした。賃貸物件の供給過
剰と空きが増えたというコメントが多く、市場調整の観点からは止やむを得ない動きと捉えて
いる回答も見られました。
当協会は、不動産の適正な価格形成に資し、もって県民生活の安定向上と県土の均衡ある発
展に寄与すること等を目的とする不動産鑑定評価に関する公益法人として、不動産市場が安定
化するまでの間、これらの動向を適宜調査し、開示していきたいと考えております。
第16回:詳細はコチラを御覧ください >>(PDF:474KB)
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