東日本大震災後の不動産市場動向アンケート調査結果
(第17回)公表
東日本大震災及び東京電力福島第一原子力発電所の事故後における不動産市場変動を捉える
べく実施した「東日本大震災後の不動産市場動向に関するアンケート」第17回調査の結果を発
表致しました。
今回調査(第17回)は前回調査(第16回、平成30年4月1日時点)と比較して「前回調査時点
と比較して」(実感)の項で、各用途とも「ほぼ同じ」の割合が最多、次いで「下落した」です
が、各用途とも割合は低いものの「上昇した」が倍増しています。これは、横ばい~下落基調
の予測に対して、条件の良い又は人気の高い土地の価格が予想以上に維持された又は上昇した
ことが窺えます。今後の動向予測では全用途で「ほぼ同じ」が増えています。大震災を要因と
する移転需要がピークアウトしたことに加え、地価水準に影響する社会的事象、施策の実施・
政策の変更等、大きな要因がなかったことにより、地価変動が下落基調のなか沈静化の傾向を
強めてゆくとの予測と思われます。
【土地(住宅地)】
実感の項で、全体としては前回と比べて「ほぼ同じ」が9.8ポイント増加し、「下落し
た」が12.0ポイント減少し、一方で「上昇した」が3.7%から6.7%に上昇しています。
エリア別では、浜通りでは「下落した」が8.6ポイント拡大し、特にいわき地区では
25.7ポイント拡大し、「ほぼ同じ」が14.3ポイント減少し、下落基調を強めていること
がうかがわれます。
中通りは、県中で「下落した」の10ポイント相当が「ほぼ同じ」に移動した動きとな
り、「ほぼ同じ」が71.4%を占めています。県北、会津地区も同様の傾向を示しました。
今後の予測は、実感に対して、全体では概ね「下落」が20ポイント多く、「ほぼ同じ」
が20ポイント少なくなっており、悲観的な予測といえます。
【土地(商業地)】
実感の項で、全体としては前回と比べて「大きく下落」「下落」「ほぼ同じ」が減少
し、「上昇した」が増加しており、商業地の地価が堅調であったことが窺えます。
地域別では、いわきの「下落した」が前回の32.9%から75.0%へと大きく増加してお
り、商業地の需要がピークアウトしたことを窺わせます。中通りは、前回調査とほぼ同様
の傾向ですが、県北で前回無かった「大きく下落した」が7.7%となり、今後の動向に注意
が必要と思われます。
今後の予測は、全体では「ほぼ同じ」が5ポイント上昇、「下落する」が4.5ポイント減
少と沈静化への期待がみえますが、いわき地区では「下落する」が48.2ポイント増加し
91.7%を示し、6月に開業した「イオンモールいわき小名浜」の反動と思われます。
【土地(工業地)】
実感の項では、全体としては「ほぼ同じ」が4.5ポイント減少、「下落する」が5.2ポイ
ント増加と、やや下落傾向が強まったようです。
今後の予測は、「大きく下落する」が会津地区で6.6ポイント上昇(14.3%)したほかは、
各地区ともゼロとなり、下落傾向を予測するものの、大きく下落する不安は解消されたよ
うです。
【特徴的な傾向】
動向指数(DI)による分析では、実感は各用途とも全体で「下落した」「ほぼ同じ」が
8~9割を占め、このうち「ほぼ同じ」が約7割・「下落した」が約3割であることから、全
体的には緩やかな下落基調にあるといえます。今後の予測は、各用途とも全体では「下落
する」「ほぼ同じ」が約9割を占め、内訳はほぼ半々で、実績より下落傾向が強くなること
を予測しています。この傾向は各用途とも浜通り地区が強く、特にいわきで顕著です。
<トピック調査> 「現在の賃貸市場(住宅・店舗)で特徴的なこと」について
アンケートの結果は、各地区とも被災者・復興事業関係者の減少及び人口減少を背景に
アパートの需要が減少している。一方で、新築アパートの供給は継続しており、需給バラ
ンスが崩れ、空室の増加・賃料下落をきたしている。空室の増加は老朽アパートで、新築
の供給は相双地区で顕著、との回答が見られた。
店舗等は、需要自体が少なく、借主からの賃料交渉が厳しくなっているようである。
当協会は、不動産の適正な価格形成に資し、もって県民生活の安定向上と県土の均衡ある発
展に寄与すること等を目的とする不動産鑑定評価に関する公益法人として、不動産市場が安定
化するまでの間、これらの動向を適宜調査し、開示していきたいと考えております。
第17回:詳細はコチラを御覧ください >>(PDF:2,204KB)
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